2026.7.24
日々の着物日記
浴衣が添えてくれたもの
お気に入りの浴衣で
先日、お気に入りの浴衣を着て 新幹線に乗った。
目的地は、父が住む町。
目的は、元気な父に会うこと。
車を1時間30分ほど運転して
新幹線に1時間30分ほど乗って
乗り換えたりタクシーに乗ったりして
父のところまでは4時間ほどかかる。
その移動を考えると、ちょっと悩んでしまった。
「浴衣で行く?どうする??」
結局
浴衣を着て父に会いたいのと、新幹線の冷房対策を考えて、浴衣で行くことに。
決め手になったのは、
「お気に入りの浴衣で、父に会いたい。」
「お前、そんなに着物 好きやったんか」
父と会うのは年に1〜2回。
ここ数年は、緊急入院した父に慌てて会いに行くことが続いていたから、ゆっくり話すこともできずにいた。
「家庭の事情」で、父と連絡を取るようになったのは母亡きあと。
いろいろあったけど、結婚式や子どものお祝いごと、帰省の度に会って、なんやかやと楽しい時間を過ごしている。
父と過ごした時間を思い出してみると
母の思い出話、子ども(父からしたら孫)の話、この先の不安のこと、弟の話・・・
そんな話がほとんどで、私は自分の話を してこなかった。
私の好きなもの、好きなこと、子どものころの思い出話、がんばったこと、熱中していること・・・
そんな「私」に関することを、父は、あまりよく知らない。
浴衣を着て、山口県から新幹線でやってきた娘を見て
父はかなり驚いていた。
「お前、そんなに着物 好きやったんか。」
それから、「私」の話も少しした。
子育てが大変だけど楽しいこと、着物が子育ての息抜きになっていることや
先日 和箪笥を譲っていただいて嬉しかったこと、友達のこと主人のこと仕事のこと・・・・
一息ついたころ、父がぽつりと
「・・・そういえば、あいつ(父の妻、つまり私の母)も、何回か着物、着てたなぁ。」
それは、びっくり!
母が着物を着ている写真は残っていなかったし、母と着物の話をしたこともなかったから。
私が着物を着るようになったのは、2年半前。母が亡くなってから、11年ほど経ってから。
そうかー、お母さんも、着てたんや。
なんだかすごく、嬉しかった。
懐かしそうに話す父の、ふっと笑った顔も、なんだか嬉しかった。
父に、私が着物をこんなにも好きだってことを伝えたいとは、思っていなかった。けれど、
そういうことになった。
「今度、着物、買うたるわ。」
父は、小さなカラオケ喫茶みたいなのをしている。
私がカウンターに座って父と話している間に、1人 2人とお客さんがやってきて、賑やかになった。
みなさん、2〜3曲ずつカラオケするのだけど
その全部が 演歌!!
知っている歌はほとんどなくて(以前に居合わせた方が歌った演歌は、何となく覚えてる)
画面と、接客する父を、ぼーーっと眺めながら聞いていた。
が、そのうちに気づいてしまった。
「着物がいっぱい出てくる!!!」
そう。演歌のPVや歌詞の画面には、高い確率で着物(浴衣)が出てくるのですよ!
きれいな羽織り、着物とお酒、雪の中の着物姿、浴衣と縁側、小料理屋さんのカウンター、ちょっと年配の方の着物の艶やかさ
見惚れてしまった。
つい、お客さんと「着物素敵ですよね!もう、見惚れっちゃって!」と熱く語り合ってしまったりも。
そんな私を見て、父はどう思っていたのだろうか。
幼い私の好きなものを、父は知らない。
今の私の好きなものに、父は気づいた。
近くの古着屋さんで、着物が安く売っていることを知っていた父は
「今度、一緒に行こうな。着物、買うたるわ。」
と言ってくれた。
父と買い物した記憶は ほとんどないけど
これから、そんな思い出も増えていくといいな。